今のインターネット時代、情報技術は日々進歩しているにも関わらず、多くの企業はデータの管理にエクセルを使っています。この方法には大きな問題があります。
企業がデータベースシステムを使いたいと考えた時、基本的な方法はソフトを購入するか自前でシステム構成をするかの二択です。
商用ソフトを導入したことがある方なら分かるでしょう。商用に展開されているソフトは規模が大きいものが多く、導入に苦労する上にメンテナンスが想像以上に大変だということが。こうしたソフトはシンプルな方がいいのですが、分野や企業によって求めるものがそれぞれ違うことから、様々な要求にこたえるためにどうしても大規模になってしまっています。結果として各企業が活用できるのは全体の1割程度の機能だけなのにもかかわらず、膨大なコストを払ってメンテナンスし運用を続けていくことになってしまっています。
もう一つの方法として、カスタム可能なシステムを開発するというものがあります。外注でも内部開発でも、企業にマッチした運用ができるデータベースを開発することが目的となります。しかし、使いやすいソフトを作るためには長い時間をかけてじっくりと取り組む必要があるにも関わらず、ほとんどのプロジェクトには十分な時間も予算もありません。こうしたプロジェクトはたいてい全く理解していない人が最低価格を要求してしまうために、いかにコストを抑えるかばかりに力を割いてしまうことになってしまいます。情報システム開発のプロジェクトの失敗率が驚くほど高いのは、こうした原因によるものなのです。
適切なソフトがなく、かといってシステムを開発する予算もないことが、多くの企業がエクセルを使わざるをえない原因です。しかし、エクセルは使っている人が多いというだけで、速度はそこまででもなく、データやファイル数ばかりが増えていき、いつの間にか誰も整理したがらない散らかったフォルダが山積みに。これではデータを利用した競争力の向上チャンスを失ってしまいます。
プログラムを書けない人でも、企業が実際に求めているものを作り出せる、カスタム可能でシンプルな、実用的な、どんな人でも使えるデータベースシステムを作りたいのです。
既に世界中で何千万もの人が毎日エクセルでデータを管理している、というのは一つのきっかけになります。スプレッドシートは誰でも使えるわけですから、データベースのデザインと使用をスプレッドシートの編集と同じようにしてしまえば、システム開発のしきいはずいぶん下がるでしょう。情報を扱った経験のない人でも、シンプルで実用的なデータベースシステムを作ることができ、組織にとって本当に効率の良いデータ管理ができるようになるのです。
データベースのデザインをエクセルのようにするというのは、言うほど簡単なことではありませんでした。これまでのSQLによる関係データベースのシステムは、一度作った後に手直しするのが想像以上に大変です。しかし、スプレッドシートを使っている時、一般の人は自由に編集しても問題が起きないのが当たり前になっています。このような自由な編集を可能にするために、私たちは工夫を凝らしました。そして自由度の高いデータベースエンジンを作り上げたのです。ユーザーはいつでも好きな方法でデータベースシステムを編集でき、データベースエンジンも変更に合わせて動きを変えることで、データベースエンジンを人が管理する必要がなくなりました。
Ragicの目標はどんな人でもデータベースを作成できるようにすることです。IT化は大企業や金持ち企業だけの特権ではなく、雑多なエクセルファイルに日々悩まされている全ての中小企業の権利でもあるのです。
どんな業種も、日々の仕事をIT化するためだけに巨大で複雑なソフトの使い方を学ぶというのは効率的ではありませんし、わざわざプログラマーに自分の仕事を逐一説明してデータベースシステムを作ってもらい、言い忘れがないか悩んでしまうというのもいい方法ではありません。しかし、多くの企業がこのような非効率で高リスクな方法を選び、高い代償を払っているのです。
日々の仕事を管理するツールを自分で自分で作り出すことは、毎日その仕事をしていて内容をよくわかっている人ならできるはずです。ですからデータ管理ツールを作る権利を日々実際に企業運営に携わる人に任せてしまえば、正確で効率的なデータ管理はどんな規模の企業でも可能になるのです。